ずっと労働者として働いていたら人生の中盤くらいで虚無感抱えるかもしれない。
最近40代の人で、「ちょっと一回リセットしようと思って、何も考えず仕事を辞めました。」という人と出会った。ちなみにその人には奥さんも子供もいる。
自由人、というわけではなく、組織の中でもナンバー5に入るくらいのキャリアも実績も残している。
勇気があり、すごい決断だなあと思う。
たくさんの悩める要素はあったと思うのだけど、その人の顔は清々しくて「いいな」と思った。
40代って大学を卒業して20年近く働いてきて、この先30年は働くだろう今の現役世代で
そこで「ちょっとキャリアを中断する」すごい勇気がいることだと思う。
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自分自身、営業として毎日忙しく数字を追っていると、いつの間にか日々が過ぎていくのだけれど
「この仕事が何になっているんだろう」「私は結局何を残せたんだろう」とふと思う日がたまにある。たまに。
今月は達成しても次の月はまた0からの数字の積み上げ、毎月毎月の繰り返し。
もちろん、目標を達成できた時のやりがいは素晴らしいものだし、顧客の役に立てたと実感できた時の充実感は、仕事をしていなければ得られないことだと思う。
ただ、時の流れが早過ぎて自分が提供した価値は、もう次の年には廃れてしまうことも多いのだ。新しいサービスが次々と生まれ、人や社会のニーズは絶え間なく変化し、過去の実績にしがみついてなんかいられない。
人も変わるし、社会も変わる。
職務経歴書に売り上げ数字の実績は記載することはできるけど、この変化が激しい世の中で、去年出した売り上げの数字にどれほどの価値があるの?と思う時がたまにある。
ただ、そんなことを考えている暇はそんなにないので、そんな疑問はかき消して毎日仕事に向かう。
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新卒で入った会社で先輩には「数字を上げたかったらまず自分を殺せ、徹底的に顧客のニーズだけ考えろ」と言われた。
言われた通りにしたら、本当に売り上げがあがった。売り上げがあがると周囲にも評価され居場所ができたように感じ精神的に楽になるので、ますますその言葉に従うようになった。
キャリアの志向も自分がやりたいこと、より世の中に必要とされていること、いわゆるマネジメントとか需要の高いスキル、とかそういうことを考えるようになった。
そんな人は多いのではないかな。世間の長男みたいな志向。
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今、40代くらいで高級取りだったり、社会的地位があったり、実績を残している人は顧客や世の中のニーズを察知する感度が高く、かつそれに対し呼応できるよう努力を絶え間なくしてきた人たちなのだろう、と思う。
特に日本はキャリアの空白期間にうるさかったりするので、本当に絶え間なく絶え間なく誰かの何かを解決する仕事をしてきた人たちなのだろう、と思う。
冒頭の人もまさに。
その人は決断の背景に「ちょっとした虚無感があった。でも絶望じゃない。」と言っていた。
誰かの何かのために絶え間なく仕事をし続けてきて、結果として築いてきた地位を手放せる強さと勇気に恐れ入る。
そんな我慢強く優秀な人が、人生の半ばで到達した虚無感は、私にはまだわからない。