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非正規雇用について(2018.1.9作成/2020/6/19再編集) 

レポートvol1.非正規雇用について

(2018.1.9作成/2020/6/19再編集)                       

※このレポートは自分の勉強用としてまとめたものです。誰かを誹謗中傷するような意図はありません。

 

■非正規雇用をとりまく数字感
・1997年から2012年までの間、正社員は543万人減少したのに対し、非正規社員は784万人増えた
・労働者全体に対する非正規の比率は4割
※ただ、全体のパイとしての労働者数全体が増えたという背景もある(正社員の給与所得が下がり主婦のパート参画などによって)

 


■非正規雇用の問題点
①雇用の不安定性などの労働条件悪い
・賃金があがらない
・賃金設定が生活を支えられる設定ではない
(あくまでも主婦のパートを想定した補助的な賃金設定)
・雇用が保証されておらず、雇用の調整弁として使われてしまう
※例えば経営悪化による正社員解雇の回避努力として「まず非正規を切るなどの努力をしたか」というのがある。正社員の解雇回避努力はある程度義務づけられているが、その回避努力の手段として使われてしまう


②能力開発ができない
・任せる仕事は定型的な業務や部分的な業務(IT技術の発達により部分的にアウトソーシングが可能になった)
・企業が回収を見込まないため教育投資をしない
・能力開発がされないので、低賃金でも他社に移るなどの交渉スキル(この場合は仕事スキル)が身に付かない
⇒もう少し安定的に働きたいけど、その働き口が見つからない負のスパイラルに入る


■生涯雇用、年功序列について(非正規雇用が一般化する以前)
※ポイント:『生涯(終身)雇用、年功序列制度』は企業にとっても労働者にとっても日本の経済成長にとってもメリットがあったので採用されてきた

メリットとは:
・40代50代の賃金コストは企業にとって高くなるが、20代30代が低いので全体的に採算があっていた
・20代で育てた社員が辞めないので、投資回収もできていた
・投資回収が見込めるので次の20代に教育投資をする余裕もあった
年功序列にすれば、育てた若手が他社に行くことも避けられる(労働者にとってはこのまま給与があがるのであれば辞めずにその会社で引き続き頑張った方が合理的)

⇒終身雇用、年功序列は「経済成長がある社会」においては採算が合っていたし、人材を囲い込むこともできるのでメリットがあった。メリットがあるので採用されていた

■その他メモ
・もともと持続的な経済成長が続いていた時代は企業は終身雇用制度を採用し「生活給」として40代50代で賃金カーブのてっぺんがくるように賃金を設定していた。
・サラリーマンである父親が家族を支えられる給与を出すという前提のもと賃金も設定されていた
(本人の能力云々ではなく、これで家族は安泰だから家族の心配をせず仕事に集中してね、というような感じ。お父さんは一家の大黒柱です!が成り立った)

ただ終身雇用、年功序列のメリットは「経済成長がある社会」において上手くはまる方法なので


オイルショック1973年
バブル崩壊1991年
・冷戦終結により、世界の人口の3分の1がいきなり低賃金で雇えるようになったこと

ソビエトが崩壊した1991年
リーマンショック(2008年)
などに対応できず、色々はまらないのが今の現状となっている

・非正規はもともと主婦のパートなどサラリーマン家庭の補助的な稼ぎとしての役割があったので生活を支えられるような賃金&能力開発は補償されていない

・経済不況により非正規にならざるを得なかった世代がある。非正規雇用で生活設計をしなくてはならざるを得ない人が出てきておりそれが課題になっている

■非正規雇用から貧困へ
・非正規は住宅も十分に住める、家族を持って養えるという設計の給料になっていない
・解雇された時の社会保障セーフティネット)が整っていない⇒生活保護へ一直線が多い
・まず住むところを失うが、日本は住所がないと新しく職につくことも、保障を受けることもままならない
・負のループに陥りやすく一度落ちたら這い上がるのは難しい
(目先のお金が必要なので日雇いなどに従事すると、就職活動ができなくなってしまう)


■考えたこと
社会保障の制度を変えることや、企業にとっての調整弁としての非正規雇用を変えるのは難しく、労働者にできることは仕事のスキルをあげること能力開発をすることが大切⇒交渉材料になる
・「正社員が良い、非正社員が悪い、正社員になっておけば安泰」ではなく正社員になろうがスキルをあげていく必要がある
オイルショックとか、バブル崩壊とか、リーマンショックとか、東日本大震災とか誰も避けられないことは今後も起こりうる

・上記の構造があることを説明せず、非正規なっている労働者を「甘い」というのは横暴だと思う

・全体の4割を閉める非正規社員に「不安定雇用」を強いてしまっている以上、正社員には成果とスキルが求められる

 

■2020年6月19日追記

・コロナショックという経済ショックが起こり、派遣社員などの非正規の方の雇用が不安定になったことを目の当たりにした
・正社員採用は縮小しているし、非正規採用も縮小している

 

参考文献:『雇用危機 忍び寄る失業と貧困』週刊ダイヤモンド